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10.2019/09/02 語田早雲です。 [笑う小説]

10、裸の男が俺の前で、「川田次郎と申します。よろしく」と言った。
「なまえ自分で付けたんですか」
「私、地球は初めてですけれど、新次郎と麗の話が伝わる物ですから、覚えました」
「えっ、伝わるって、どういうことですか。とてつもなく遠いところにいたんですよね」
「太郎、俺たちは繋がっているんだ。遠くにいる俺がしている事を知りたければ次郎は知ることができる。麗も同じだ」
「良いような気もするけど、恥ずかしいような気もする。だって人に知られたくない事もあるだろう」
「ああ、それは互いにルールをわきまえているから。第一ルールを破ったらみんなに直ぐに知られて、誰にも相手してくれないよ。でも、いい事がたくさんあるんだ。俺が太郎の前でしてきた、パチンコも宝くじも俺だけの力じゃないんだ」
「それって、すごいね。俺のように不器用な男で、君たちみたいになれたら。最高だね」
「そうだね。これからも俺たちは太郎さんにお世話になるから、なんとかします」と、次郎が言った。
「ほ、本当ですか」
「どれほどのことができるか分かりませんが、これから実験を時々やります、モルモットは使えませんから、私と太郎さんでやりましょう」
「ええ、お願いします」
「次郎だったら、やってくれるよ。俺たちも太郎ともっと繋がりたいからな」
「それ言われたら涙が出ちゃうよ」
「でも、出ていませんね」と、麗が言った。
「いや、それは出る出ないは関係なくて、なんて言ったらいいか………」
「ハハ、みんな分かっているよ」
「心がつながったのか」と太郎。
「そうだね」と三人が言った。
「それじゃあ、ちょっと早いけど飯でも行くか」と、新次郎が言った。
「俺の服はどこにあるの」
「次郎はずうーっと裸だった」
アパートを出て歩道を二組になって歩いた。俺と新次郎が並んだ。後ろに兄弟が並んでついて来る。
「太郎、俺たちが何で日本を選んだか分かるか」
「紛れやすいとか、住みやすいからとかじゃないの」
「まあ、それもあるが、人々だ」
「それって、日本人の事を言っているのか」
「そうだ、日本人がこの星の上では、俺たちに一番近いからだ」
「それって、もしかして、人と人の繋がりか」
「そうだ」
「でも、俺たち地球人は心までつながっていないよ。離れ離れになっているとお互いの考えている事を伝えあえないよ」
「いや、日本人は困っている人を見ると直ぐに助けようとする。あれは、人と人の繋がりだよ」
「ふ~ん、そうかもしれないな」
俺は歩きながら考えた。新次郎と麗と次郎、彼らは俺の前に現れる順番ごとに、より人間らしくなってきた。次郎なんて完璧だ。あそこがちょっと大きいが俺の嫉妬かもしれない。次郎と新次郎が言ったように彼らは繋がっているんだ。
着いた。また、ラーメン屋だった。

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