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11.2019/09/03 語田早雲です。 [笑う小説]

11.四人とも、みんなラーメンと餃子を選んだ。繋がってきたのだろうか。しかし、三人はうまいうまいと喜んでいたが、俺は、餃子はうまいと思ったが、ラーメンがいまいちだと思った。まだ繋がっていない。
帰り路は、新次郎が日本で食べて今まで食べてきたものの話に夢中になっていた。二人は興味しんしんで、聞いている。食べ物までは伝わらないようだ。
さっそく行動開始だ。俺と次郎は電気街に行った。残る二人は、当然パチンコだ。なにを聞いたらいいのか分からなかったが、思い付きで聞いてみた。
「パソコンを買うって言っていたけど、使い方は知っているの」
「いや、何も知らない。新次郎はやっていないから、情報はない」
「大丈夫、説明書とか読めるの」
「まだ、日本語は勉強していないから読めないが、英語は読める。そいつが、英文を頭の中に書いたのを読んだ。だから発音は分からない」
「じゃあ、その英文はまだ頭の中にあるってこと」
「そうだよ」
「すごいね。人間はかなわないよ」
「いや、人間だってあるんだよ、そうじゃなければ文字は読めないよ」
「そう言われればそうだけれど、俺なんか忘れてばかりだ」
「それってすごいね」
「なんだって、忘れることが凄い事だって」
「だって、忘れなければ、新しい事を覚えないじゃないか。俺たちは年をとると物覚えが悪くなるんだ」
「まあ、人間もそうだけどね」
そんな話をしながら、店についた。
彼は、パソコンに夢中になっている。俺は、ただ隣で
その様子を黙って見ている。彼らにはパソコン以上にもっと進んだ物があると思っていた。もしかして、ないのだろうか。後で聞いてみようと思っている間にも、店員にしつこく説明を聞いている。
欠伸が出てきた。彼は夢中だ。店員はしつこい客にうんざりしている。
そして、隣の店に移った。ここでも同じだ。
三店目を出るときに、「待たせて悪かったね。決まったよ」と言って、最初の店に入って、パソコンと外付けのバックアップを買った。
店を出て直ぐ、俺は聞いてみた。それでなにをするんだい。
「まあ、最初は株の勉強だ」
「株か、いいね」
「それだけじゃない、俺たちを日本人にするために使うんだ」
「そんなことができるのか」
「やらないと、戸籍の無い俺たちをこれ以上ここに集められない。このままじゃ太郎に迷惑が掛かる。俺たちが増え続けたら、難民をかくまっている事になってしまうだろ」
「う~ん、300人も急に増えれば、おかしいと思うよね」
「子供たちがいるんだ」
「あっ、子供は当然いるよな」
「それに、俺たちの子供時代は、人間より二倍くらい長いんだ。一人くらいだら、人間の学校に通わせることもできるけれど、何十人にもなると、おかしいと思われる。宇宙人ですからちょっと成長が遅いんです、とは言えないよ」
「子供たちを人間の学校に通わせるなんてできないね」
「だから、俺たちの子供のための学校をつくる」
「だって、成長がそんなに遅い子供たちが学校に通っていたら、怪しまれるよ」
「大丈夫だ、子供たちにも変わってもらうから」
「だって、そんなに人数がいないじゃないか」
「いや、子供たちにも顔を変えてもらうんだ」
「それで、ごまかすわけだ。面白いね」
「そうか、面白いか。そういう考え方って良いね。そういう考え方で顔を変えるって言えば、子供たちも喜んでするだろうね」
「よし、応援する。頑張って」
というわけで、麗のアパートに戻った。麗はまだ戻っていない。部屋に入ってから、何で俺はここまでついてきたのだろうかと思った。
「俺帰る」
「今日は、ありがとう」
「部屋は狭くないかい」
「大丈夫だ、二人して工夫をして、うまくやるよ」
「じゃあ帰る」と言って俺は、俺のアパートに向かった。久しぶりに一人になったような気がする。ずうーと一人ぼっちだったけれど、さみしいとも思わなかった。でも、今ちょっとさみしい。麗と新次郎は今頃どのくらい稼いでいるのだろ。帰ってきたら聞いてみる事にしよう。また、彼らの事を考えている自分に気がつく。いまは、俺も彼らの仲間になっている。

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