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7.2019/08/28 [笑う小説]

7.翌日も、パチンコだった。毎日勝てるのはうれしいんだけれど、やっていても楽しくない。勝てることが決まっているのに、頑張る気もしない。それでも、新次郎達のために頑張ろうとやっている。
帰り道で聞いてみた。
「次にくる女性は、アパートを自分で借りるつもりか」
「いや、それは無理だ。まだ日本人になってないんだから、太郎が借りてくれ」
「そうする。で、いま日本人になっていないって言ったよな」
「ああ」
「という事は、なれるのか」
「どうやって」
「三番目も直ぐ来る。こいつはとてつもない天才だ。なんでもできる」
「存在していなかった人間の本物の履歴書を作れるのか」
「ああ、家族も一緒にな」
「じゃあ、三番目は、彼女の兄さんか」
「太郎、お前人間にしちゃ、凄いな」
「おい、人間を下に見るなよ」
「すまん」
次の日も、パチンコだった。
その翌日の朝、彼女の履歴書を渡された。つまり、産まねばならないのだ。したくないのだが、やるしかない。
「今すぐ彼女を出すのか」
「頼む、そうしてくれ。痛くないから」
「痛くないけど、心が折れそうだよ」
「大丈夫だ。太郎、お前の心は真っ直ぐだ」
「う~ん、ありがとう」なんだか分からないが返事をしていた。
「今回から、横になってもらう。俺が出てくる者を上に引っ張る。いいな」
「わかった」と言って、俺は素直に畳の上に横になった。
「これを被れ」と新次郎は言って、セルロイドのウルトラマンの仮面を出した」
「ありがとう」
出てくるところを見たくない俺のことを考えてくれていたのだ。被って目を開けたら、ウルトラマンの開いた丸い目から上が見えた。
「あのう、これ見えるんだけど」
「えっ、見たくなければ目をつぶればいいじゃない」
この返事は間違ってはいないけど、どっかおかしい。と、思っていると。
「もうすぐ始まる」
俺は無意識にシャツを上げて腹を出した。
「それ、意味ないよ。俺が出た時は腹は出していなかったじゃないか」
ちょっと恥ずかしい、と思って下げようとした時。
「始まった」
シャツと腕は途中だったが、俺は固まってしまった。
しばらくして、「終わったよ」と新次郎が言った。ウルトラマンの仮面を外そうとしたら、「まだ裸だ」と言われた。トギマギしてしまった。宇宙人でも若い女性の裸は見てみたい。
「良いよ」と言われた」
上半身を立てて、ウルトラマンはやめた。驚くほど可愛い女性が畳に上に座って、手をついて頭を下げた。
「よろしくお願いします」
「は、はい」声が上ずってしまった。あまりにも可愛い、彼女が外に出たらみんなの注目になって、人だかりができるかもしれない。そう思わせるほど可愛いのだ。小顔に大きな目、もう人間の限界を超えている。まあ人間じゃないから仕方ない。と、思ったとたん、俺は言っていた。
「まずい、こんなに可愛いと目立ち過ぎる。芸能界に引っ張られて、普通の生活ができなくなる」
彼女は不思議そうに俺を見つめている。
「わかった。ちょっと工夫してもらおう」
「わかりました」とその可愛い人は俯いた。そして、直ぐに顔を上げた。
驚いた。眼がちょっと小さくなって、口がいくらか大きくなって、全体のバランスがさっきと違うのだ。まあ、可愛いがどこにでもいる感じだ。
おれば茫然としてしまった。
「これでよろしいでしょうか」
「はい」返事が上ずっていた。

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