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15.2019/09/09  語田早雲です。 [笑う小説]

15.三日たった。次郎と麗の部屋にいる。朝から呼ばれている。二日前からスマートフォンを持たされた。
「じゃあ、行くか」と次郎が言った。
「行くじゃないよ、出すんだよ」と、下からみんなを見ている俺が言った。
「確かに、出てくるな。行ってはまずい」と、次郎。
「ちょっと待って」と言って、俺はウルトラマンを被った。目のところに、バンドエイドをはった。これしかなかった。女性も出てくるので、遠慮した。まあ、出てくる方は、見られてもちょっとも恥ずかしいとは思はないだろうが、寝ている体の下半身に変化があってはまずい、みんなに見られてしまう。俺が恥ずかしい。
「いくぞ」と、次郎。
「おう」と、何もしないくせに、新次郎が言った。
「一人目が出た」と新次郎。「男よ」と、麗。俺に教えているつもりだ。
「二人目だ―、ウルトラマンを取るんじゃないぞ。女性が裸なんだから」と、新次郎。
そんなこと言われたら、見たくなるじゃないか。ちきしょう。
「三人目よ可愛い赤ちゃん、でもまだ地球人みたいじゃないわね」と、麗。
「ウルトラマンを取っても良いか」と、俺。
「もうちょっと待ってね。二人とも今着ている最中だから」と、麗。
「じゃあ、合図を頼む」
「わかったわ」と、また麗。
かなりたった。寝ている俺の事を忘れたのだろうか。
「起きるぞ」返事がない。
「ウルトラマンも取るど」
「ちょっと、待って下さい」知らない声の返事だ。
「いや、彼なら大丈夫だよ」と、新次郎が言った。
「じゃあ起きる」と俺は起上り、ウルトラマンを取った。
「アッ」思わず声がでてしまった。
 座布団の上に、赤ん坊が寝ている。ピンクのベビー服に包まれて寝ているのだが、どう見ても人の赤ん坊ではない。人間とは違うとすぐわかる、口は大きいし、肌の色が薄いグレーだ。でも、気味悪いとも気持ち悪いとも思わない。逆に、可愛いと思った。人の赤ん坊より大きめの二つの目はくりっとしていて、かなり丸いし、それに比べると丸くて小さい鼻も可愛い。「可愛いね」と、思わず声が出ていた。
「おう、地球人が見ても可愛いか」と新次郎。
「うん可愛い。でも、人に見せられないね」
「そうなんだ」と、次郎。
「初めまして、鈴木一郎です。お世話になりました」と言って、初めて会う男が、頭を下げた。
「こちらこそ、どうも」
「これが、家内の良子です」
「初めまして、お世話になりました。今後ともよろしくお願いします。実は、向こうも急がないと、ウイルスに感染した者達が、私たちの隠れ家に気づいたようなんです」
「わかっています。仲間たちを救うためにみんな頑張ってください。太郎さん今後ともどうぞお願いします」と、次郎が言って深々と頭を下げた。
俺は、次郎の両腕を掴んで、「俺もできるだけのことをする。頑張る」と言った。二人は周りからきつく抱かれた。
「じゃあ、私三人を家につれていくわ」と、麗。
「赤ん坊は人に見られないようにしないとまずいよ」と、俺はいっていた。
「大丈夫よ、レースで隠すから」と、麗。
「俺は、ここで株を扱って金を稼ぐ」と、次郎。
「じゃあ、俺たち二人はパチンコに行く。太郎、良いだろう」と、新次郎。
「事務所はどうなったんだい」
「あっ、忘れた」と、新次郎と次郎がハモッた。
「明日にしよう」と、次郎。
「じゃあ、パチンコだね」

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