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17.2019/09/11 語田早雲です。 [笑う小説]

17.そんなわけで、いつものようにパチンコをしている。それでも週一で会社に行く。次郎に挨拶してから、社長室に入る。次郎もついて来る。そこでなにをするかと言えば、あれだ。彼らの仲間を、腹から出すんだ。次郎と俺だけしかいない。相変わらず、目のふさがったウルトラマンのマスクを被る。従業員を増やすんだ。
「いくぞ」と次郎。今日は二人だ、続けるぞ。
「おう」と、俺。
「出た―、男だ。次が続いた女だ―」
 俺は起上る。もちろんウルトラマンを付けたままだ。横においてある、椅子に座る。たしか、今日で五回目だ。従業員が8人増えた。彼らも、次郎と一緒に株をやるんだろうか、いや不動産もやるはずだ。仲間たちの住まいを確保しなければならないんだ。
「ウルトラは外していいよ」
「おう」
マスクを外すと、俺の前に四十過ぎのおじさんと、同じ年ごろの女性がいる。もちろん二人ともそれなりの年に見える服を着ている。
「お世話になりました。今後ともよろしくお願いします」
俺は立ち上って、頭を下げた。
「ことらこそよろしくお願いします。地球人とのお付き合い方法なら、あなた方よりは分かっていますので、何でも聞いてください。次郎さんも新次郎さんも、経験豊富で色々なことを知っていますが、地球人としては可笑しなこともあります。ここには週一ぐらいできますんで、連絡ください」
「はい、おお願いします」
「初めてだね。いまの話、俺たち二人ちょっとおかしいかな」
「まあ、二人だけだったら変わり者として通用するかもしれないが、変わり者ばかりになったら、怪しまれるよ」
「それもそうだね。変なところがあったら、ずばずば言ってくれ」
「まあ、俺も変わり者だけどね」
「う~ん、俺たち太郎だけで大丈夫なんだろうか」
「あの、そういう事は本人のいる前で、日本人は言わないよ」
「いや、俺たちって隠しごとができないから、何でもはっきり言うんだよ」
「そんな言い訳はできない。ここは地球だ」
「うん、分かった」
出てきたばかりの二人は、ただ茫然と俺たちのやり取りを聞いていた。
「あのう、私達これから住まいの方に案内してくれるんですよね」
「じゃあ行きましょう。社長も来る」
「あの、社長も来る、じゃ駄目だ。社長さんも来られますかだ」
「社長さんも来られますか」
「いや、いかないよ」
「はい、分かりました」
というわけで、三人は部屋を出ていった。不動産関係の本を買ったのだけれど、面白くないので本棚に並べたままだ。まさか、社長室で漫画を読む分けにいかない。というわけで、パチンコをすることにした。仲間が一人増えた。そいつも出す。負けたくはないけど、俺の金を稼いでいるわけでもない、けれど止められない、これほど続けてきたのでもはや中毒だ。
そろそろ俺はやめないとだめだ。彼らは中毒になっているんだろうか。俺よりも夢中でやっているんだから、なるような気がするんだけど、宇宙人じゃ分からない。
良く考えてみたら、彼らがどこから来たかも知らないなんて、おかしいよ。俺には知る権利があると思うけど、こんど聞いてみる。
というわけで会社を出て、パチンコ屋に向かった。

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