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19.2019/09/13 [笑う小説]

19.車を持つと言う事は、今のアパートでは無理だ。駐車場を借りればいいのだけれど、アパートから遠い。それに空いている駐車場を探すのが大変だ。
やはり、吉本に相談しよう。吉本というのは、あの夫婦で出てきたあの時の中年風の男だ。本当に中年だかどうだかわからない。中年夫婦にしては肌が若々しい。それにどっちも同じ肌に見えた。
その吉本が、後から来たのに不動産部門の部長になった。まあ、肩書だけだ。でも俺よりは仕事をしている。
というわけで、雨の中を、傘をさして向かった。髪は相変わらずぼさぼさだけど、背広を着ている。足下が濡れる。
会社についた。2階のドアを開けて、俺が言おうとすると、後ろから「おはようございます」と言われ、俺も「おはよう」と返した。社長らしくしないといけない。そいつは、俺の前にもぐりこみ部屋に入って言った。次郎、いや川田部長に言ってやろう。この会社の宇宙人は常識を勉強しないとだめだ。俺が教えてやる。
部屋に入ると、三人しかいない。三階より少ない。二人がそろって挨拶した。俺も返した。
「なにかありますか」と吉本。
「実は、今のアパートを出て、車で通えるところに、引っ越そうと思っているんだ」
「どんな家が良いですか」
「まあ、今よりは広い家が欲しいね」
「という事は、一戸建ての住宅ですか」
「いやぁ、まだ一人者だしそこまで、広くなくても良いんだ」
「まあ、そんなこと言わずに。いい物件があるんですよ。会社で買った物件です。社長らしい家になりますよ」
「家賃は高いんだろうね」
「いえ売り物です。そうだ、社長に買ってもらいましょう」
「だって。俺そんな金持っていないよ」
「いや、毎月払ってもらいます」
「いくらぐらい払うの」
「百万ぐらいですね」
「ちょっと待ってくれよ、俺の給料はその半分だよ。払えるわけがないだろう」
「いえ、大丈夫ですよ。その分の給料も増やしますから」
「百万もだすの」
「ええ、川田部長が、そろそろ社長の給料を上げましょう、と言っていました」
「それだけで、百万も上げちゃうの」
「いやあ、こちらも頼みたいことがありまして」
「なに」
「いやぁ、その一戸建てなんですが、幽霊が出るって噂があるらしいんですけど、三階の鈴木が一晩起きて待っていましたが、出てこないんですよね」
「う~ん、あの鈴木一郎さんですね」
「ええ」
「それで、鈴木君の前に、幽霊が出たんですか」と、太郎は微笑みながら言った。
「我々には見えないのかもしれません。みんなに聞いてみたんですが、誰も見たことがないんです」
「あの~それで僕に頼みたいってことは何ですか」
「実はその幽霊を退治してもらって、あの家から出してもらいたいんです。私たちには見えないものが、地球人のあなたなら見えるでしょう」
「任しといてください。追い出しますよ」
「よろしくお願いします」
と、言うわけで三日後の晩は幽霊退治になった。新次郎と次郎それに麗を誘ったら、麗だけが来ることになった。二人は怖いと言った。宇宙人の男のくせにだらしない。

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