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24.2019/09/24 [笑う小説]

24.彼女を待っている。ちょっと早めに着いた、車を駐車場に置き、駅舎の待合で待っている。彼女の乗っている電車がもうすぐ着く。改札口の前に行くと、直ぐに彼女が来た。
車の中で彼女の生い立ちを聞いた。小学生だった時の話が面白かった。ますます、好きになってしまう。
俺の話もしたが、どういう訳か失敗の話ばかりになってしまった。彼女を笑わせたかったのかもしれない。笑い声も良い、ますます好きになる。家に着いた。ガレージはまだない。
「素敵な家ね。でも若い人の家には見えないわ」と玄関の前で彼女が言った。
俺も頷いた。俺って何も考えていないと思った。
「まあ、綺麗にしたけどもともと古い家だから」
「そうよね。でも、古い家を若い人が持っているって素敵じゃない」
「ありがとう。家の中を案内するよ」ドアを開け、彼女を先に導いた。
「大きな家ね」
「うん、一人には大きすぎるかもしれない。コーヒーでも飲むかい」
「はい、私コーヒー派よ」
「俺もだ。気が合うね」
「そうよね、飲み物と食事は気が合った方がいいわよ」
「そうだね。全然違ったら面倒だろうね。じゃあ、その椅子に座って待っていてくれる」
昨日準備しておいたコーヒーをフィルターに入れて、お湯を注いだ。
「お待たせしました」
「ありがとう」
「そう言えば、ビスケットもないね」
「いいわよ」
「冷蔵庫はあるけどコーヒーしか入っていないんだ」
「じゃあ、二人して買いものでも行きましょう」
「おう、行こう。その前にスーパーの場所も知らないから、スマホで調べる」
「コーヒーどう」
「美味しくって、もうなくなってしまったわ」
「俺も飲んでしまった。もう一杯飲む」
「いえいいわ、おトイレどこかしら」
「案内する」と言って俺は立ち上った。
 彼女が着いて来る。部屋に戻って、コーヒーカップをキッチンまで運んだ。
トレイから流しにコーヒーカップを置こうとしたら、腹に穴があき何かが飛び出てきた。そいつは思いっきり前にある流し台の角に頭をぶっつける。俺は逆に後ろにはじき返され冷蔵庫に思いっきり頭をぶっつける。
「ウ~ン、頭がいてえ」
「ウ~ン、おれもだ」と、俺の前に立ちあがる裸の男が言った。なには俺より小さい。
「やっぱり来たか」と、声が上がった。見ると次郎だ。後に新次郎もいる。
「お前らか、とうとう見つけたぞ」と、その裸男が言った。
「見つけたは良いが、お前は俺たち全員が管理する、いいな」と、次郎が言った。
「どうせどこに行っても見つけられてしまうんだ」
「よし」と、新次郎が言って男の腕を捕まえた。男はなされるままだ。抵抗はしない。次郎もその男の腕を捕まえる。男は両側から犯罪者のように捕まえられている。
「キャー、その人裸よ」
「大丈夫ですよ、私たちが捕まえましたから」と、刑事にでもなったようなセリフを新次郎が言った。三人はキッチンを出ていく。足下を見ると新次郎と次郎は二人とも土足だ。靴ぐらい脱いでほしかった。
「大丈夫」と、後頭部を指すっている俺を見つめる。その心配そうに俺を見つめる顔を見ていたら、俺は恋に落ちたと確信した。

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