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26.2019/09/26 語田早雲です。 [笑う小説]

26.俺たちは結婚した。吉川良子は原田良子になった。新婚旅行はいかなかった。結婚する前に二度ほど旅行したのだから。
そして、二人の生活が始まった。彼女は仕事をしないことにした。その代わり庭が広いので、園芸を始めた。
俺は結婚したので、普通の社長のように会社通いをした。暇なので、毎日勉強をしている。政治、経済、科学なんでも勉強した。パソコンも始めた。生まれてくる子供に何も教えられない父親になりたくないからだ。
俺の会社は、大きくはならなかった。彼らは、彼らだけの会社を作っている。もちろん人間達とのやり取りもしている。そうしないと収入が得られない。が、何か別の事をやっている。俺は彼らの会社を一時期、良く見に行っていた。誰もが俺を見ると、深々と礼をする。どこでも見ることができた。でも、俺にはさっぱり分からないので、今は行っていない。
そうやって月日が経っていった。良子は二人の女の子を産んだ。子供たちの成長を見ていると月日の経つのが速く見える。
二人は結婚し、この家には住んでいない。良子も死んでしまった。会社にはすでに行っていない。毎日、良子の残した花達の手入れをして、日々を過ごしている。そんなある日、二人がやってきた。俺は玄関から出て二人を迎えた。久しぶりの顔だ。
「どうもお久しぶりです」と、次郎が言う。その横で、新次郎が微笑む。どう見ても人間の微笑みだ。多くの人間達と月日を共にしているうちに、身についてきたようだ。部屋に案内した。
「二人とも、若いね。人間の年で数えると幾つになるんだい」
「二人とも、同じ年だから、80歳くらいだね」と、新次郎。隣で次郎が頷く。
「うん、二人とも俺より年上だ。悔しいな」
「それじゃあ、若返れば良いじゃないですか」と、次郎。
「ああ、知っている。あの5年の家だろう。誰がやっているか知らないが、君たちの仲間だろう」
「ええ、5年若返るで知られていますけど、本当はいくらでも若がえられるんですよ。でも、これが知られると大変なことになります」
「そうだね、世界中が大騒ぎになるだろうし、大勢の人が押し寄せてくるかもしれないね」
「でも、太郎さんは特別です。我々の恩人なのですから、若返って長生きしてくもらわないと。万が一、あなたがなくなったりしたら、我々全員が悲しみます」
「ありがとう、そこまで言ってくれたら、やってもらいます。俺だって若返りたい、若い彼女が欲しい。でもこの家に住めなくならないかな」
「大丈夫、若返ったら。息子になればいいだけですから」
「そうだね。君らはなんでもできるから」
「よし、決まった。では、こちらもお願いがあります」
「なんだね。僕のできる事なら何でもするよ」
「そうですか、それでは若返ったら直ぐに我々の星に移動してください」
「えっ、なんだって、星に移動するって、なにを言っていんだ。俺にできるわけがないだろう。ロケットなんか乗れ………、まさか俺の腹から逆に移動するのか、いや、そんなこと出来るはずもない」
「まあ、太郎さんの腹の上の穴は出口専用ですから、入れません」と、新次郎。「実は、入口はできていますし、出口もすでに着いています」
「出口って、やはり誰かの腹の上なの」
「そうです。彼に行ってもらいました」
「彼って、もしかして、あの彼か」
「ええ、会社の1階に眠っていた彼です。彼が行ってからすでに十年は経っていますね」

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